地震をはじめ台風などの自然災害に対して、防災対策は必須ともいえる昨今。
その中でも一番大切なのは、命を繋ぐための食事。
身体に必要なエネルギーをとるためだけの食事ではなく
同時に「心の栄養」にもなる食事であることが必要です。
被災して大きなストレスを受けた時、おいしいものや温かいものがあれば気持ちが和らぎます。
気持ちが和らぎ「心の栄養」にもなる食品を備えることをおすすめします。
わたくし、栄養士の栄子が疑問に思っていることをサンドラッコ博士に聞いてみます!
基本は栄養バランスを考えた食品を
被災時の食事は、ご飯、パン、麺類などの炭水化物に偏りがちです。
どうしても栄養が偏り、体調不良、病気の原因となります。
水はかなり重要で、不足すると体調を悪化させる原因となります。特に、ビタミンやミネラルの不足は精神的不安をもたらします。
身体の健康を維持し、ストレスを増やさず心の健康を維持するためにも
可能な限りの栄養バランスを考えて食事をすることが必要です。
そのために、食品は栄養バランスを考えて備蓄しましょう。
基本は、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素が摂れるように備蓄しましょう。
①【炭水化物】:お米、パックごはん、もち、パンの缶詰、乾パンやクラッカー、乾麺など
②【たんぱく質】【脂質】:肉、魚、豆類の缶詰やレトルト食品など
③【ビタミン】【ミネラル】:野菜果物ジュース、青汁、フルーツ・貝類などの缶詰、海藻や野菜の乾物など
栄養バランスを確保することで身体の健康、心の健康の維持になります。
同時に「心の栄養」にもなるものを摂る事が大切です。
それは、自分の好きなものや、おいしいと思うもの、食べ慣れたものを食べることです。
被災時に、食べ慣れたものがあれば安心します。
おいしいものがあれば心が和らぎます。
好きなものがあれば笑顔になります。
各家庭に合った「心の栄養」食品を備蓄しておきましょう。
そのために、ローリングストックを実行しましょう!
①ローリングストック
普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し
消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
いざという時に消費期限切れだったという残念な結果も防げます。
いろいろ試して、家庭に合った好みの食品を探してみましょう。
備蓄の参考に⇒⇒緊急時に備えた家庭用食料品備蓄ガイド
②熱源の確保
ライフラインのストップに備えて、カセットコンロ(ボンベ)を備えておくことをおすすめします。
カセットコンロで熱源が確保できれば食の選択が大幅に広がります。
温かい食事は身体を温めるだけでなく、不安や緊張感も和らぎ「心の栄養」にもなります。
③パッククッキング
カセットコンロと水、ポリ袋(※)があれば簡単な食事を作ることができる調理方法をご存知ですか?
ポリ袋に食材を入れ、袋のまま鍋で湯せんする調理方法です。
ご飯が炊けたり、おかずやデザートも作れます。
加熱に使った水が汚れないので再利用でき節約につながりますし、袋に入れたまま食器によそえば食器が汚れません。
※必ず、耐熱性に優れた素材のポリ袋(高密度ポリエチレン製)を使用してください。溶ける場合があります。
100円均一ショップでも販売されていますよ。
★農林水産省のホームページにご飯の炊きかたが載っています!
サンドラッグ栄養士考案 とっても簡単レシピ
もしライフラインが止まっても、火を使わずに作ることができるレシピをご紹介します。
*もちもち食感 トマトパスタ
【材料】1人前
・ツナ缶 30g(1/2缶)
・トマト缶 200g(1/3缶)
・パスタ 100g(1人前)
【使用器具】
・バット(無ければポリ袋でも可)
【作り方】
①パスタをバットなどの容器に入れ、パスタがかぶる程度の水を注ぐ。4時間程度水漬けにして戻す。
(バットがなければポリ袋に2つに折って入れ、水を注ぐ)
②水を捨てて、汁気をきったツナとトマトで和える。
※もしガスコンロが使用できれば・・・
フライパンで水戻ししたパスタとツナとトマトを3~4分ほど和えながら加熱する。
【ポイント】
・水漬けパスタは戻すのに時間がかかりますが、水と燃料の大幅節約になります。
それだけでなく、もちもち食感で美味しく仕上がります!
・たんぱく質、脂質源としてツナ缶を使用しました
・ビタミン、ミネラル源としてトマト缶を使用しました
【感想】
4時間漬けておくと、粉っぽさがなくなりました。
茹でたパスタと食感は違いますが、もちもちしていておいしくいただけました。
ツナ缶を使用しましたが、さば缶もおいしいですよ!
*野菜リゾット
【材料】1人前
・アルファ化米 100g(1人前)
・野菜ジュース缶 190g(1缶)
・魚肉ソーセージ 25g(約1/3本)
・コーン缶 25g(約1/3缶)
【使用器具】
キッチンばさみ
【作り方】
①魚肉ソーセージをキッチンばさみで食べやすい大きさに切る
①アルファ化米に野菜ジュース、魚肉ソーセージ、コーンを入れてよく混ぜて60分程待つ
※ガスコンロが使用できれば・・・
できあがったご飯を袋に入れ、沸騰したお湯の中に約15分ほど入れておけば温かいリゾットの出来上がり。
【ポイント】
・水が無い!足りない!そんな時にはこのレシピのように野菜ジュースやトマトジュースで戻すことをおすすめします。
不足しがちなビタミン、ミネラル、食物繊維を同時に補うことができます!
・たんぱく質、脂質源として魚肉ソーセージを使用しました。
【感想】
今回は野菜ジュースを使用しましたが、他にもお茶や麦茶で戻してもおいしいです!!
塩コンブやゆかりなどを混ぜたら、さらにおいしくいただけました。
白米だけでなく、ピラフや五目御飯など種類も豊富に販売されていますので、ぜひ味見をして好きな味を見つけてくださいね。
◎非常食の定番の乾パンを使った簡単アレンジレシピもご紹介します!
何事もなく無事に消費期限を迎える乾パンがありましたら、アレンジレシピでおいしくいただきましょう!
*グラタン
【材料】1人前
・乾パン 40g
・牛乳 50ml
・たまねぎ 1/4個
・薄力粉 大さじ1.5
・バター 10g
・牛乳 200ml
・固形ブイヨン 小さじ1/2
・塩こしょう 少々
・とろけるチーズ 1枚
・パセリ 適量
【使用器具】
・バット
・フライパン
・耐熱容器(グラタン皿)
・へら
【作り方】オーブンは200℃に余熱しておく。
①バット等に乾パンを入れ牛乳に浸す(20分程)
②たまねぎを薄切りにする。
③フライパンにバターを入れて中火にかけ、たまねぎがしんなりするまで炒める。
④薄力粉を入れて粉気がなくなるまで炒める。
⑤牛乳、固形ブイヨンを入れて弱火にし、とろみがつくまでかき混ぜ、塩こしょうで味を整える。
⑥耐熱容器に①を入れ、上から⑤を流し入れ、チーズを乗せる。
⑦200度のオーブンで15分ほど焼く。チーズに焼き色がついたらパセリをかけて完成。
*クランチチョコバー
【材料】1人前
・乾パン 25g
・チョコレート 50g(板1枚)
・ミックスナッツ 10g
・ドライフルーツ 10g
【使用器具】
・ポリ袋
・めん棒
・バット
・クッキングシート
【材料】
①ポリ袋に乾パンとミックスナッツを入れてめん棒などでたたいて粗く砕く。
②チョコレートを湯せんで溶かし、砕いたものとドライフルーツを入れ混ぜる。
③バット等にクッキングシートを敷き、流し込んでならす。
④冷蔵庫で冷やし固める。
⑤固まったらはずし、好きな大きさに割る。
*チョコの代わりに、マシュマロでもおいしい!
【作り方】
①ポリ袋にマシュマロ(25g程度)と砕いた乾パン・ミックスナッツとドライフルーツを入れて袋の空気を抜いて口を縛る。
②沸騰したお湯の中に入れて、マシュマロを溶かす。(2~3分で溶けます)
③お湯から取り出したら袋のまま中身をよく混ぜ合わせて伸ばし、固まったらできあがり!(熱いのでやけど注意!)
④しっかりと固まったら、袋の上から包丁の背などを使って好きな大きさに切り分ける。
*かりんとう
【材料】
・乾パン 30g
・砂糖 大さじ3
・水 大さじ1
【使用器具】
・フライパン
・へら
・バット
・クッキングシート
【作り方】
①フライパンに砂糖と水を入れて弱火にかける。
②フツフツと小さな泡が出てきたら、乾パンを入れる。
③砂糖が固まりそうになるまで混ぜる。
④バット等に広げて、砂糖が固まったら出来上がり。
他には・・・
★乾パンを細かく砕けばクルトン代わりになります。コーンクリームやサラダのトッピングに!
★温かいミネストローネなどのスープにそのまま入れて鍋でふやかすとおいしいですし、ボリュームも出ますよ!
非常食のアレンジレシピを普段から作ってみることで、もしもの時にも日常に近い食事を味わうことができます。
この機会に、食品の備蓄を見直したり、家庭ならではの非常食レシピを覚えておいたりするのはいかがでしょうか。